瑕疵(かし)保険というものをご存知でしょうか。
そもそも瑕疵という言葉が馴染みないですね。
下手をすると一生関わることのない人もいるようなものです。
しかし損保業界からは「最後のブルーオーシャン」と呼ばれるような変な保険です。
この記事にたどり着いた方はマイホームをお考えかと思います。
ここでは主に新築住宅の瑕疵保険について、制度の細かい話ではなく、そもそも何なのこれといった基本的なことを、なるべくわかりやすく説明していければと考えています。
それでは早速中身を見ていきましょう。
目次
新築住宅の瑕疵保険とは
1.消費者保護の制度
昔、こんなことがありました。
ブランド杉を使った家造りを謳うとある工務店が人気を博し、家を建てまくりました。
そして欠陥住宅を出しまくりました。
あまりにも被害が大きく、また当時は制度が整っていなかったため被害に遭われた方々は泣き寝入りするしかありませんでした。
そこで国はこのような法律を作りました。
それからしばらく経って、こんなことがありました。
耐震に関わる計算結果を偽装し、基準を満たしていないマンションが建ってしまいました。
法律に則って、
とした所、
と、マンションを建てた会社がなくなってしまいました。
当時は大騒ぎとなったため、姉歯事件と言えばご存じの方もいらっしゃるかも知れません。
またまた制度が整っておらず、被害に遭われた方々は泣き寝入りするしかありませんでした。
そこで国はこのような法律を作りました。
こうして住宅瑕疵担保責任保険(じゅうたくかしたんぽせきにんほけん)ができました。
瑕疵とは、誤解を恐れずに言うと住宅の欠陥のことです。
瑕疵保険とは、
- 欠陥住宅を建てて(売って)しまった業者は、無償で欠陥部分を修理しなさい
- 更に、無償で修理するための保険に入っておきなさい
という消費者保護の制度です。
当たり前のことです。
昔は、この当たり前のことでさえ法律が整っていませんでした。
2.保険に入るのは家を建てる/売る側
新築住宅の瑕疵保険は義務です。
いくつか例外はありますが、新築住宅には必ず瑕疵保険をかけなければいけません。
ただし、お金を持っている大手ハウスメーカーなどは、供託金というお金を法務局へ預けることで免除されます。
掛け金は家の広さにもよりますが、だいたい3~10万円です。
これは家を建てる/売る側の事業者が払います。
勘違いをされる方が多いですが、施主であるマイホームをお考えの皆さまが支払うものではありません。
ですので見積もりの中に瑕疵保険の金額が入っていた場合はご注意ください。
3.保証範囲と保証期間
具体的にどこに欠陥があればこの保険が使えるのかと言うと、
- 構造
基礎や柱など、きちんと家が地面に立つために必要な部分が歪むなど - 雨水の侵入を防ぐ部分
要は屋根や壁からの雨もりなど
この2つです。
あくまで施工ミスが原因の場合なので、例えば台風で瓦が飛んだりですとか、地震で柱が歪んだりですとか、そのような場合は使えませんのでご注意ください。
いわゆる天災の被害については火災保険での保証となります。
保証期間は、
です。
最近では延長保証というサービスもあるので、20年、30年と延ばしていくことも可能です。
ただし相応のリフォームを行なうですとか、制約はあります。
といった質問があったりもしますが、あくまでも建築基準法上の義務として10年が定められているというお話となります。
4.免責|これをしたらマズイです
これまでお話したように、瑕疵保険は施工ミスで家に欠陥が出てしまった際の保険です。
そのため逆に言うと、住宅を建てた事業者が悪くない場合は一切補償されません。
例えば、
買ってきたエアコンを設置する際に、電気屋さんが管を通すための穴を開けた所、柱も貫通してしまったという話を聞いたことがありますが、これも補償されません。
基本的には建った後の家に何かしら手を加える際は、その家を建てた事業者に相談してみましょう。
5.いざというときの動き方
では、実際に雨漏りを発見してしまった際はどうすればいいのでしょうか。
次の2パターンとなります。
特に、家を建てた事業者がない(倒産など)パターンについて、引き渡しの際に瑕疵保険の付保証明書(保険証券のようなもの)を貰っているはずなので、まずはそれを探しましょう。
瑕疵保険法人は現在、この5社です。
付保証明書が見つからない場合は、この5社へお問い合わせをいただき、そこからご自身で段取りをしていくこととなります。
修理業者の紹介などをしてもらえます。
もちろん10年以内であれば保険金でまかなえます。
6.瑕疵保険の種類
これまでお話してきたのは新築住宅の瑕疵保険でしたが、
その他にもこのようなものがあります。
信じられないほどコスパがいいので、また別の機会にでも紹介できればと思います。
火災保険や地震保険との違い
ここまでに少し触れましたが、ざっくりとこのようにお考えください。
瑕疵保険は選べませんが、火災保険は選ぶことができます。
こちらはご自身のお住まい方に合ったものをお選びいただくのがベストです。
比較して一番安いものを選ぼう!
瑕疵保険は非常に複雑な制度なので、全てを理解する必要はありません。
とりあえず知っておいて損はない情報はこの記事中に記載できたかと思います。
家は大きな買い物です。
皆さまがマイホームを手に入れ、今後安心して暮らしていくための参考に少しでもなれば幸いです。