前もってお断りをしておきますが、ここではUA値やq値、ηAC値といった性能値、また何mm入れるべきかなどといった込み入った話はしません。
マイホームをお考えの方が、断熱材がそもそも何なのかといったことを、なんとなくイメージができることを目的としています。
ほとんどの方があまりお気になさらない部分かと思います。
見た目に表れないですし、「何でも一緒でしょ?」と思われがちです。
しかし一般的なイメージとは裏腹に、この断熱材こそが、住宅の住みやすさを決定づける非常に重要な要素だったりします。
また家が建ったあとに補充を行ったり、改修をしたりといったことが中々難しいものですので、完全に理解する必要はありませんが、なるべく知っておいてほしい項目となります。
なぜ断熱材を入れるのか
基本的には、そもそも断熱材が入っていない住宅はないとお考えください。
コンクリート造の建物は別ですが、ここでは一旦置いておきます。
断熱材は部屋の壁と外の壁との間の隙間に詰め込まれています。
なぜそんな事をするかというと、外の気温の影響を少なくするためです。
外が1℃、中も1℃ですと大変ですよね。
理科の実験などでありましたが、熱は温かい方から冷たい方へ移動します。
この熱の移動を防ぐために、断熱材は非常に重要な役割を持っています。
最も身近な断熱材は「空気」です。
ろうそくの火にかなり近づかなければ熱さを感じないのは、空気が断熱を行っているからです。
これを利用してガラスを二重にした窓なども近ごろは随分普及しました。
カンのいい方は、
と思われたでしょう。
その通りです!
しかし非常にコストがかかるので、あまり現実的ではありません。
断熱材の種類
ではどのようなものが断熱材として利用されているのでしょうか。
少し見てみましょう。
安いので、おそらく現在最も多く使われている断熱材です。
その名の通り、ガラスでできた綿です。
綿の隙間に空気を留めて断熱するというわけです。
触るとめちゃくちゃチクチクします。
グラスウールに次いで一般的な断熱材です。
これもその名の通り、石でできた綿です。理屈はグラスウールと同じです。
基本的にはグラスウールの上位互換品です。
高性能住宅を謳う会社が好んで使います。
スプレーのように吹き付けていくことが多いので、施工にはそれなりのウデが必要です。
性能は高いですが、施工ミスが起こるとカビの元になります。
EPSとかXPSと呼ばれる、要は発泡スチロールです。
まさに発泡スチロールのイメージでお考えいただければ結構です。
意外と性能は高いです。
あります。
性能、価格ともに最強です。
部分的(お風呂とか)に使う分にはいいかも知れませんが、施工できる業者がどれだけ存在するのかは分かりません。
セルロースや羊毛なんてものもあります。
よほどの理由がない限り選択肢に挙がらないのでここでは割愛します。
断熱材を入れる場所
ここまで断熱材の種類を見てきましたが、実際にどこに入っているのでしょうか。
少なくとも壁の中、性能にこだわった住宅では床下や天井裏にも入っています。
要は外からの熱の出入りを防ぐものとなるため、家全体をまるっと囲んでしまえばいいという話です。
個人的には、お風呂と脱衣所にはしっかりと断熱材を入れていただきたいと思います。
これはヒートショック対策となるからで、
しっかりと断熱がされたお風呂はびっくりするほど寒くないです。
あとはトイレもですね。
暖房器具を設置しにくい場所にこそ断熱材を入れるべきです。
このあたりにこだわり始めると、今度は窓の薄さが許せなくなってきますので、ご予算と相談しながらじっくりとお考えください。
断熱材のメリット
ヒートショックという言葉が出ました。
ここからは断熱材をしっかりと入れることでどんなメリットがあるかについてお話します。
光熱費が安くなる
冷暖房が効きやすくなります。
特にこれまで賃貸にお住まいであった方は感動すると思います。
賃貸は基本的に断熱性能のことなど考えられていないので、差がはっきりと実感できます。
極端な話、家中のドアを全開にしてエアコン1台でまかなえる家も普通にあります。
ヒートショック対策
上でお話した通りです。
自分には関係ないやと思わないようにしてください。
ローンが終わる頃にはあなたも高齢者です。
アトピー、ぜんそくの軽減
嘘のような本当の話です。
アトピーやぜんそくの原因は室内の気温差です。
また結露によって壁の中で発生したカビなども関係しています。
住まいを移ってからぜんそくが改善したといった話は珍しくもありません。
防音
地味に効果があります。
断熱材がしっかりと入った家は防音性能も高くなりますので、例えば赤ちゃんの夜泣きでご近所の心配をする必要がなくなります。
終わりに
今回のお話は本当に、ほんのさわりです。
断熱道は奥が深く、突き詰めていくと逆にどうすればいいのかが分からなくなってしまいます。
ここで私の個人的なおすすめを述べておくと、
ポリスチレンフォームEPSを家中にまんべんなく
硬質ウレタンフォームで二重断熱
です。
大事なのは施工に問題がないかどうかです。
いくら性能の高い断熱材を使っても、施工に問題があると意味がないどころかマイナス効果です。
壁がうっすらと緑になっている家を見かけたことがあるかと思います。
あれはカビです。
断熱材が歪んでいたり、隙間が空いていたりするとそこに水が溜まってカビが発生します。
グラスウールは安いですが、柔らかいので歪みやすいです。
大手ハウスメーカーなどは工場であらかじめ壁の中に断熱材を入れてしまうため、施工ミスが発生しにくい仕組みになっています。
地元の工務店などにお願いする際は、断熱材の種類、施工についても検討のポイントとして見極めて行きましょう。
壁の中を真空にしたら最強じゃん