この記事をご覧の方は以下のような方々かと思います。
かつ、
そして、
相当調べなければこのページに辿り着くことはできませんから、これまでマイホームに関するかなりの勉強、情報収集をなさってこられたのだと思います。
長期優良住宅を考えるときに一番最初に読む記事と銘打っている以上、できるだけわかりやすく記載しているつもりですので、ゆっくりと読み進めていただければ、そのエッセンスをご理解いただけることでしょう。
前置きは以上として、早速内容に入っていきましょう。
目次
長期優良住宅とは
日本は災害大国です。
地震、台風、水害、土砂災害、などなど、住宅は常に様々なリスクに晒されています。
また日本は高温多湿で夏は本当に暑いです。そして冬も本当に寒いです。
人間が暮らす土地で、最も降雪量が多い地域は東北・北海道に集中しています(世界レベルで見てもです)。
にも関わらず、どうして木造住宅、しかもツーバイフォーではなく在来工法の住宅が多いのでしょうか。
答えは簡単で、これまで日本では災害に強い家が求められていなかったからです。
「え?どゆこと?」とお思いになられるかも知れませんが、
強い家
ではなく、
壊れてもすぐ直せる家
が日本家屋の基本でした。
地震で瓦がすっかり落ちてしまっている光景を目にされたことがあるかと思います。
あれは地震が来たら落ちるように作ってあるのです。
瓦が落ちずに、屋根の重さで家屋が倒壊するよりはマシという訳です。
台風で飛ばないように瓦が固定された家は、地震での倒壊リスクがありますのでご注意ください。
以上は、これまでの日本の住宅事情です。
もう30年以上前のこととご認識ください。
今はどのような考え方となっているのでしょうか。
答えは、
です。
欧米では築年数が50年程度の住宅をYoung Houseと呼びますが、日本でも同じような文化を作っていこうという取り組みが始まりました。
それが長期優良住宅です。
すなわち、「ここまでやれば50年ぐらいいけるでしょう」といった基準を作り、そのガイドラインに沿った住宅を建てることで、一度建てればお子さんやお孫さんの代まで住み継ぐことのできる住宅となるわけです。
国は最終的に築年数100年を長期優良住宅のゴールとして目指しています。
これはSDGsという言葉が広まる以前から続く取り組みです。
長期優良住宅の基準とは?
では具体的にどのようなことをすれば、長期優良住宅として認定されるのでしょうか。
以下の項目に沿って、わかりやすく一言で説明していきます。
- 劣化対策
床下と天井裏への点検用の出入り口を作ること - 耐震性
柱や壁を強くする/増やすこと - 維持管理、更新の容易性
配管(排水口など)を基礎のコンクリートの中に埋めてしまわないこと - 省エネルギー性
壁、床、天井に断熱材をたくさん入れ、窓を二重ガラスなどにすること - 居住環境
エグい見た目にしないこと - 住戸面積
一戸建てであれば75㎡以上の広さにすること - 維持保全計画
建ったあとに定期点検を行うこと(10年に1回)
着工前(基礎を作り始める前)に、お住まいの行政庁に認定をもらう必要があります。
その前に専門の機関に適合証を発行して貰う必要があります。
これは通常、住宅を建てる側の工務店やハウスメーカーが行う手続きなのでご安心ください。
もし「わからない」「お客さんが自分でやってください」などと言われた場合は契約のキャンセルをご検討いただくレベルかも知れません。
長期優良住宅もわからない事業者に、皆様のお住まいのことを任せてはいけません。
長期優良住宅のメリット・デメリット
知らないからできない
できるけどやらない
この2つは、似ているようで全く違います。
これから長期優良住宅のメリット、デメリットについて解説しますが、くれぐれも「知らないからできない」工務店やハウスメーカーにはご注意ください。
「できるけどやらない」工務店やハウスメーカーにはまだ誠意があります。
いくらメリットが多くとも、それ以上にコストが掛かったり、工期が長引いてしまうケースがあるからです。
できますが、やらないという選択肢もあります
と言ってくれる事業者を信頼すべきです。
長期優良住宅のメリット
- 家そのものの性能の向上
- 地震保険の割引
- 税制優遇
- 住宅ローン金利引下げ
家そのものの性能の向上
長期優良住宅の基準がそのままメリットになるということです。
基準となる指標も、住宅性能評価という厳しいものとなるため、これに沿って建った住宅は自然と高性能なものとして見なされます。
万が一住宅を手放さなければならなくなった際に高値で取引ができたり、住宅を賃貸として貸しに出す際に家賃を高く設定できます。
地震保険の割引
これも長期優良住宅の基準がそのままメリットになるパターンです。
耐震等級という地震への強さの指標があり、これが2ですと地震保険が30%割引、3ですと50%割引となります。
長期優良住宅では耐震等級2となっているケースが多いため、このメリットを受けられます。
もちろん設計の段階でお願いして耐震等級3に上げることも可能でしょう。
税制優遇
住宅取得等資金贈与の非課税枠1,000万円(2023年末まで)
さしあたっては上記となります。
住宅ローン控除
13年間、0.7%の住宅ローン控除(2025年末まで)
長期優良住宅のデメリット
- 間取りの制限
- 価格上昇
- 点検が必要
間取りの制限
これは性能の向上との裏返しです。
地震に強く、省エネ性能の高い家の理想像を申し上げますと、極論、窓のない立方体の家です。
もちろんそこまでする必要はありませんが、例えばリビングの真ん中に柱を立てなければならなかったり、窓のサイズを少し小さくしなければならなかったり、そうした設計上の制約が大小出てくることになります。
価格上昇
これもおおよそ想像がつくかと思われますので、端的に申し上げます。
一般的に言われるのは、「坪単価が3万円上がる」です。
しかしこれは工務店やハウスメーカーが、どれだけ長期優良住宅を得意とするかで変わります。
点検が必要
これが最も面倒な部分になりそうです。
10年毎に「自分で」行います。
と書いてあります。
ただし、家を建てた工務店やハウスメーカー、または専門の検査会社で代行することも可能です。
普通は家を建てた工務店やハウスメーカーで行います。
後々トラブルとなりやすい項目なので、事前によく確認してください。
終わりに
以上、今回はなるべくわかりやすく、長期優良住宅について見ていきました。
新築一戸建て住宅ではだいたい25%ぐらいが長期優良住宅となっています。
これは主に大手ハウスメーカーが数字を伸ばしているからで、一般の工務店ではまだまだ少ないでしょう。
逆に考えると、一般の工務店で長期優良住宅を建てたとすると、その住宅の性能は大手ハウスメーカーに匹敵するものとなる可能性があるということです。
どこで家を建てても基準は一定なので、車や家電製品の仕様のように、もう少し住宅の性能についてもわかりやすく表示ができる時代が来るといいですね。
あ、住宅性能評価がありました……。
こちらの説明はまたの機会といたします。