これから住宅を考える方、またすでに住宅をお持ちの方に関わらず、ここ最近注目度の高い蓄電池。
太陽光発電の導入を義務化する検討を行っている自治体もあり、特に費用の面で不安を感じていらっしゃる方も多いです。
私はこれまで国に近い立場で、どちらかと言うと太陽光発電の導入をすすめる側にいました。
まずはじめに知っていおいてほしいのは、国が太陽光発電や蓄電池、またEVの導入をすすめているのは、COPと言う国同士の取り決めに従っているからです。
ざっくりと申し上げると、「日本は先進国なんだから、CO2の排出を率先して減らしなさいよ」です。
そのため、太陽光発電や蓄電池の費用対効果やコストパフォーマンスなど本来であればどうでもよく、とにかくCO2の排出を減らしましたと他国に報告できればいいのです。
しかし、単にそれだけですと経済界や産業、国民が納得するわけがありません。
そのため、補助金などの制度を作り、なるべくメリットのある形で整備を進めていこうとしています。
逆に言うと、このCOPの最新状況を見ておけば、次にどのような補助金が来るのかある程度予想することができます。
この記事では、そんな背景とは無関係に、純粋に蓄電池の費用対効果・コストパフォーマンスについて見ていきます。
蓄電池のメリット・デメリット
まず確認しておきたいのが、蓄電池のメリット・デメリットです。
早速見ていきましょう。
蓄電池のメリット
- 夜間電力や太陽光発電との組み合わせで安価な金額で電気を充電。
その後、使用量と価格が高い時間帯に蓄電池の電気を使うことで、電気代を節約できる。 - 災害時の非常電源として活用できる。
太陽光発電との組み合わせでほぼ電気の自給自足が実現できる。 - 電気自動車(EV)との相性がよく、EVへの充電はもちろん可能+EVを蓄電池として家庭用に回すことも可能。
蓄電池のデメリット
- 費用が高い。
新設・既設に関わらず、初期投資は割高。 - 電力の充電量には限界があるため、蓄電池だけで数日分の電力を確保することができない。
- 蓄電池には寿命があるため、いずれ交換が必要になる。
- 設置場所の確保が必要。
蓄電池単体での売電はできない
蓄電池の費用対効果・コストパフォーマンスについて考える上で重要な要素の一つが、蓄電池そのものは何の利益も生まないということです。
太陽光発電であれば、発電を行えるので余剰(使わなかった)分を電力会社へ売って利益とすることができます。
一方で蓄電池は、あくまで電気を貯めるだけのものなので、太陽光発電がないケースですと元の電力はもちろん電力会社から買ったものです。
そのため、太陽光発電のように「○年で導入費用がペイできます! 実質無料!」といった導入のしかたができません。
蓄電池だけを導入することよりも、太陽光発電とのセットで導入がオススメとよく言われるのはこのことがあるからです。
蓄電池で価格の安い時間帯の電力を貯めておき、価格の高い時間帯に使うことで、電気代の削減には確かに効果を発揮します。
しかし、太陽光発電にしても蓄電池にしても、それ単体だけですと片手落ちになってきます。
太陽光発電で日中は無料で発電する+蓄電池にそれを貯めて夜間も使えるようにする
日々の生活に関わるランニングコストを考えると、この組み合わせが最も費用対効果・コストパフォーマンスが高い方法です。
昨今の世界情勢で、いわゆる電気代の高騰が続いています。
昨年と比べて電気代が2倍になったというのは身近にもよく聞く話で、実際に私もそうです。
しかしながら、私の場合は太陽光発電+蓄電池の組み合わせを行っているので、電気代が売電価格を超えておらず、まだ家計には余裕があります。
災害対策としては抜群の費用対効果
蓄電池が最も効果を発揮するのはどんなタイミングでしょうか。
それはもちろん停電時、特に災害での停電時です。
容量にもよりますが、7kWの蓄電池がフル充電だったとすると、オール電化、平屋、4人家族で一夜問題なく過ごせます。
もちろん余計な電力を使わない前提ですが、夏場にエアコン・冷蔵庫を稼働させ続けながら朝を迎えられます。
実際にその状況になってみるとよく分かりますが、電気が使えることによる安心感というのは非常に大きく、特に小さいお子さんや高齢者が同居していると、熱中症や低体温症の心配がぐっと少なくなります。
蓄電池のみであれば、通常の防災対策を行いつつ、「いざとなれば使える電気がある」という精神的な支えを持って過ごすことができます。
こうして見ると費用対効果としては非常に高いと見ていいかと思います。
なぜなら、人命はお金では測れないからです。
蓄電池には節電の効果ももちろんあります。
しかし、蓄電池を導入する最大の目的は災害対策と考えてください。
逆に言うと、災害対策が必要ないのであれば、蓄電池だけの導入は不要です。
節電だけで見ると、初期コストが高すぎます。
太陽光発電も合わせて設置している場合は更に長い期間、停電時でも余裕のある生活が可能です。
容量が5~10kWもあれば日中は完全に普段どおりの暮らしを送ることができ、その間に蓄電池へ充電、夜間も最低限必要な電力がまかなえます。
理屈の上では、太陽光発電や蓄電池の耐用年数を超えるまで(10年程度)停電が続いても問題ないことになります。
そのため、すでに太陽光発電を設置しているご家庭であれば、蓄電池の導入はメリットが非常に多く、検討の余地は大いにあります。
蓄電池の補助金や助成金の考え方・調べ方
はじめに、国の思惑とは無関係に蓄電池の費用対効果・コストパフォーマンスについて見ていくと申し上げました。
とはいえ、どうしても初期導入コストが高いため、使える補助は使わなければ損です。
ここでは、補助金や助成金についての考え方、特に年度に関係なく活用ができる調べ方についてお教えします。
国の補助金に加えて、自治体からも補助が受けられることが多いです。
内容はお住まいの都道府県・市区町村によって変わります。
ポイントは、国の補助金と同時に受けられる可能性が高いことです。
そのため、国の補助金+自治体の補助金で蓄電池の導入費用をかなり抑えられる可能性があります。
とはいえ、個人で全てを網羅することは時間的にも難しい場合が多く、蓄電池の販売・施工を行う事業者から提案を受けるのも一つの手段になるかと思います。
現状、補助金の状況を事業者側が知らないということは、あらゆる意味でありえないので、補助金のことについて明るいかどうかを蓄電池の業者選びの基準の一つとすればいいでしょう。

いかがでしたでしょうか。
ここまで、蓄電池の費用対効果といった部分を中心に、メリットやデメリット、また補助金についての考え方をお伝えしました。
まとめると、
このようになります。
最後に業者選びですが、非常に難しいかと思います。
蓄電池の販売・施工を行っている知り合いなど普通はいないでしょうし、地域にそういった事業者がどれだけあるのかもわかりにくいです。
また探している時間もないといった方も多いため、ここではお住まいの地域によって以下のサービスを紹介します。
全国対応可能! 優良業者は早いもの勝ち!
こちらで価格感や実際にかかる期間、どのような商品があるのかを確認してみるといいでしょう
すでに太陽光発電単体に対する国の補助は終了しました。
蓄電池、また蓄電池+太陽光発電のセットに対する自治体などの補助は残っていますが、これもいつまで続くかわかりません。
補助や助成がある内に導入してしまうのが、最もコストパフォーマンスが高い方法です。
国からの補助金は、基本的にこの3つの省庁から拠出されます。
主に住宅全般の補助金
業界に関わらず、COPなどに基づいたCO2削減のための補助金
リンク先のSII(一社 環境共創イニシアチブ)は経済産業省の予算執行団体です
省庁の補助金同士は同時に受けられないケースが多いので、ご自身の状況に応じて最も補助額が大きなものを選ぶ必要があります。
住宅全般であれば国土交通省、蓄電池単体であれば経済産業省の補助額が大きい傾向があります。